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食を通して育む “健やかな心と身体” ~一時預かり保育における給食の考え方~

2025.10.14

食を通して育む “健やかな心と身体” ~一時預かり保育における給食の考え方~

 

こんにちは!一時預かり・託児所開業サポートの油谷です。
今回は『食を通して育む “健やかな心と身体” ~一時預かり保育における給食の考え方~』についてお話ししていきます。

幼児期における食体験は、その後の健康や嗜好に大きな影響を与えるもの。
一時預かり保育施設では、子どもたちが日中多くの時間を過ごすため、給食は「ただお腹を満たす」だけでなく、心と身体を育む大切な場になります。

私たちは、子どもたちが「食べることを楽しむ」「美味しいと感じる」「安心して食べられる」という経験を重ねられるよう、次のような方針を掲げています。

 

基本理念とこだわりのポイント

  1. 素材と安全性の重視
     地産地消や、無農薬・減農薬野菜の活用、使用する調味料の見直しなど、食材そのものの質を大切にします。
     また、アレルギー対応・衛生管理にも十分な配慮を行い、保護者との情報共有を徹底します。

  2. バランスのとれた献立設計
     たんぱく質、ビタミン、ミネラル、炭水化物などをバランスよく盛り込みつつ、季節の食材や彩りあるメニューで子どもたちの興味も引き立てます。
     また、成長段階を考えた分量調整や、咀嚼しやすさを意識した調理法も大切です。

  3. 「食べる楽しさ」を育てる工夫
     たとえば、見た目を工夫する(色彩、盛り付け)、食材の由来を伝える、子ども自身に盛り付けを手伝ってもらうなど、五感を使った食体験を重視します。
     「これは何だろう?」「味見してみよう」という好奇心を育てることは、食への興味や自発性にもつながります。

  4. 家庭との連携と配慮
     保護者には献立や使った食材を事前に提示し、アレルギーや嗜好の確認を行います。
     また、家庭でも子どもと「今日食べたもの」「好きだった料理」の話をしてもらえるよう、情報提供やちょっとしたアドバイスを添えることも有効です。

  5. 継続的な改善と振り返り
     子どもの食べ残しや好き嫌い、体調との関連を記録し、献立や調理法の改善につなげます。
     スタッフ間で共有し、よりよい給食運営を目指す姿勢を大切にします。

 

実践例:ある日の給食メニューと工夫

(例示なので、貴施設の実情に合わせて書き換えてください)

献立 こだわりポイント
主食:五穀米のおにぎり 白米に雑穀を混ぜて栄養価をプラス。見た目も少し黒ずんだ色味で変化を出す。
主菜:鶏肉のやわらか煮 蒸し煮や圧力調理でやわらかくし、咀嚼が苦手な子でも食べやすく。
副菜:季節野菜の蒸し煮/胡麻和え 季節ごとの根菜や緑野菜を取り入れ、味つけは淡めにして素材の風味を活かす。
汁物:根菜たっぷり味噌汁 野菜の旨味を出しつつ、塩分控えめ。具材を細かく切って食べやすく。
デザート:果物 季節の果物を提供。甘味料を加えず、そのままの甘さを味わってもらう

また、月に1~2回程度、食育活動として“食材クイズ”をしたり、簡単なクッキング体験(アレンジできる副菜を混ぜたり、トッピングを選んだり)を取り入れることも良いですね。

課題と工夫:実際に直面すること、そして対応策


  • 子どもの食欲の波・偏食
    → 少しずつ慣れてもらえるよう、好きな食材を使った料理をベースに、少しずつ新しい食材を混ぜる工夫をする。
    → 残食の傾向を分析して、食べやすい切り方・調味の見直しを図る。

  • アレルギー対応の複雑さ
    → 保護者との情報連携を密にし、個別対応が必要な子どもには専用食や代替メニューを設ける。
    → 調理・配膳ラインの切り替えや器具の分離、清掃徹底など、交差汚染防止策を徹底する。

  • 調理スタッフ・コストの制約
    → 栄養士・調理師と保育士が連携して効率よく調理工程を最適化。
    → 季節で価格変動の少ない食材を活用したり、まとめ買いを工夫する。
    → 食材ロスを最小化する献立調整や、残ったものを別メニューに転用するなどの工夫。

 

保護者・地域との「食の対話」を育てる

給食をただ提供するだけで終えるのではなく、保護者や地域と「食」について対話を行うことで、子どもの食育環境を広げることができます。例えば:

  • 毎月の献立表・使用食材表を配布する

  • 給食試食会を企画する

  • 食育コラムやレシピ、簡単な調理ヒントを配布する

  • 季節の食材をテーマにした園内展示・掲示を行う

こうした取り組みを通じて、保護者も自宅での食事づくりに関心を持ってくださるようになり、子どもとの食卓での会話が増える効果も期待できます。

おわりに:給食は“育ちの伴走者”

一時預かり保育施設において、給食は子どもの成長を支える重要な柱のひとつです。ただ栄養を補うだけでなく、「おいしい」「楽しい」「安心できる」経験を重ねることで、子どもたちの心と身体を育てる大切な時間になります。

託児所ハピネスでは十分な調理スペースの確保が難しいことから、宅配弁当を取り入れています。福岡市では幼稚園や認可保育園でも取り入れられているそうです。スペースを設けることができるなら、食品衛生管理者の資格を取得すればん誰でも給食を作ることができるので、自園調理することで、園のこだわりとして保護者に喜ばれると思います。

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